フェレット
今から10年ほど前からペットとして迎えられることが多くなりました。一般的には、海外のフェレット繁殖施設(ファーム)で生まれた子供が日本に輸入されペットショップに来ています。ファームによって体の大きさや性格は異なり、価格も大きく異なります。ひとに慣れやすい子が多い為、ペットとして良きパートナーになってくれる事が多いです。欧米では昔から人気で、わんちゃん、ねこちゃんに次ぐ人気ペットの第3位の地位を不動のものとしています。しかし一方で、噛み癖や独特の臭いが有る為にこんなはずじゃなかったと飼育放棄されるケースも少なからずありますので、これから迎えられる予定の方は飼育書などでしっかり勉強してからにしましょう。
獣医療的にもブーム当初に比べると病気の治療法も確立されてきており、わんちゃん、ねこちゃんに近いレベルで治療できるようになってきました。ペットショップにならぶフェレちゃん用フードも粗悪品がほとんど無くなり安心して与えられるものばかりになりました。ただ、病気は比較的多い方のペットです。予防できる病気もありますのでここで一緒に少し勉強しましょう。
ジステンパー感染症
もともとはわんちゃんの病気です。最近はわんちゃんのワクチン接種率が向上しているので流行する事は無くなりましたが、それでも時々は発生している病気です。皮膚症状や神経症状が一般的な症状です。(犬では消化器症状も出ますがフェレットでは下痢やおう吐はほとんどありません。)また、抵抗力が下がることで呼吸器にも症状が出る場合があります。効果的な治療法がまだ存在せず感染してしまうと高い確率で亡くなってしまいます。また、なんとか助かっても神経症状が後遺症として残る場合があります。
欧米とは異なり日本にはフェレット専用のワクチンがありませんので、わんちゃん用のワクチンを代用して注射します。初年度は2〜3回接種し、翌年からは年に1回の接種で予防する事が可能です。
フィラリア感染症(犬糸状虫症)
フィラリア症というとわんちゃんの病気だと思われがちですが、じつはフェレちゃんも感染します。これは、20cmほどのそうめんのような長い寄生虫が蚊を媒介してうつり心臓に入り循環状態を悪くさせるものです。わんちゃんの場合、心臓が大きいので少数なら感染しても寿命を全うできる子もいますが、フェレちゃんの場合は心臓が小さいので1,2匹感染するだけでも命に関わってきます。循環状態が悪くなると、咳が出たり、食欲が低下したり、お腹に腹水がたまったり、血尿が出るなどの症状がでます。いったん感染してしまうと安全な治療法はありません。
フィラリアは元々は蚊の体内に入る位小さいです。それが半年程度かけて徐々に成長し20cm程度にまでなります。ですので、小さいうちにやっつけてしまおうというのがこの病気との付き合い方になります。1か月に1度フィラリア駆虫薬を使うことで、その1か月の間に入ったフィラリアを小さいうちに駆虫します。こうすることで重篤な病態になることを予防します。愛知県北部の場合、5月末から11月末までの計7回お薬を使うことで予防できます。
インフルエンザ
これは私たち人間が原因になる病気です。ヒトインフルエンザにフェレちゃんも感染するのです。私たちがペットに迎える動物の中ではフェレちゃんだけがヒトインフルエンザに感染します。フェレちゃんには予防ワクチンはありません。もし飼い主さんがインフルエンザに感染した場合はうつさないよう気をつけなければなりません。
異物摂食
フェレちゃんはゴム製品を噛むことが大好きです。消しゴムやサンダルなど近くに置いておくとすぐにかじって飲み込んでしまいます。飲み込んだゴム製品はやがて腸に行きそこで詰まってしまいます。こうなってしまうともう手術で取り出す以外に治療法はありません。お部屋の中で放して遊ばせてあげるときは目を離さず、近くにゴム製品を置かないようにしましょう。
外耳炎
フェレちゃんの耳には黒い耳垢がたまっているのが普通です。しかし、その耳垢に雑菌や酵母菌やダニが繁殖して炎症を起こすことが時々有ります。そうなったら薬で治療しなければなりません。耳をかゆそうにしていたら本格的な外耳炎になる前になるべく早く病院で診てもらいましょう。
以上の事が飼い主さんの力で予防できる病気です。
年をとると高齢特有の病気が出てくることもあります。特に有名な病気が副腎の病気です。まず尾の付け根の脱毛から症状が始まります、そして次第に脱毛が拡がり全身が脱毛することもあります、またひどい痒みが伴う事もあります。その他にもインスリノーマという膵臓の病気も比較的多いです。これは血糖値が下がり過ぎてふらふらになる病気です。フェレちゃんの場合は4〜5歳くらいで高齢と言われる年齢になりますので、定期的に病院で診てもらうようにしましょう。