ハリネズミ
現在すごい勢いで人気が急上昇しているペットではないでしょうか?街に出ればハリネズミの雑貨や小物がとても多く見られます。小牧の信用金庫である東春信用金庫さんのメインキャラクターもハリネズミです。テレビでもハリネズミをモチーフにしたキャラクターが段々多くなっているように思われます。
そんなハリネズミですが、人気が出る理由は飼育している人ならよく分かると思います。めちゃくちゃ可愛いです。
トレードマークでもある背中の針がとても痛いですが、懐いてくれば針を寝かせてくれるので硬めのたわし位の感触で、なでてあげたり手のひらにあおむけで持つこともできます。また、噛みついてくることもないので立っている針さえ触らなければスキンシップもしやすいペットです。
ただし、動物である以上病気は避けられません。小さいだけに進行すると治りにくい病気も有りますので早期発見が大切です。以下に多い病気を挙げていますのでどうぞご覧ください。
ダニ感染
最も多い病気です。日本のペットのハリネズミの半数以上がかかっているのではないかと思われるほど多いです。症状は慢性的な体の痒みとフケです。他の症状で診察に来られたハリネズミでも診察中に発見することが多い病気です。
直接命に関わる病気ではないですが、慢性的な痒みのせいでハリネズミ自体は常に非常にストレスを感じ性格がひねくれる原因にもなります。
注射を数回打つことで治すことができますので、フケが多く、よく体をかゆがっている場合はどうぞ御来院ください。
どこから感染するのかはよく分かっていません。おがくずの中にダニがいるのではという人もおりますが、きちんと治療すれば再発する事は少ないのでおそらくペットショップに蔓延しておりそこで感染し、環境の変化や寒さや年齢などで体調を崩した際にダニが一気に増殖して痒みなどが発症するのではと思われます。
腫瘍(がん)
これも多い病気です。ある記事によると3割位のハリネズミに腫瘍ができると有ります。腫瘍の場合、治療は外科的切除です。しかし、口の中など場所によっては切除できない場合も有ります。切除できるかどうかは大きさも関係しますので、なるべく小さいうちに対処すべきです。
しかし、腫瘍と言っても良性と悪性があります。良性の場合は生涯殆ど大きさに変化が無く命に関わることも通常ありません。しかし、悪性の場合は数週間で倍くらいの大きさに拡大し命をおびやかします。良性か悪性かの判別は見た目だけでは難しいですが、大きくなる早さがひとつの目安になります。
気になるしこりが有った場合は御来院ください。
子宮卵巣疾患
どのくらいの割合で子宮卵巣疾患が出来るかのデータはありませんが、少なくは無いと思われます。
腫瘍や子宮の中に膿が溜まってしまう病気が多いです。なかなかスキンシップをさせてくれない子だといつの間にかとても大きな癌が出来ているなんて事もあります。どなた様でも簡単にチェックできる方法が、尿などの排泄物のチェックです。腫瘍だと血が出てくる場合が多いです、また膿が溜まる病気だと粘っこい黄色の液体が出てくることが多いです。(ハリネズミには生理は有りません。ペットの中で生理があるのは犬だけです。他の動物で陰部から出血があれば病気ですので診察を受けましょう。)
通常2歳位から病気が出来ることが多いですが中にはそれより若くてもできる子もいます。病気の予防の為に避妊手術する事をおすすめします。(避妊手術は生後4カ月からできます。)
冬眠
ハリネズミは寒さにとても弱い動物です。世界には寒さに強いハリネズミもいますが、現在ペットとして流通しているハリネズミはヨツユビハリネズミという種類でアフリカの動物です。ですので、日本の寒い冬は適応外で、温かい状態を維持してあげないとすぐに冬眠状態になって冷たくなります。日本だと遅くても10月中旬くらいには保温対策を始めないと冬眠してしまいます。エアコンや保温マットや保温電球などを上手に使って保温しましょう。
ちなみに、長時間冬眠すると確実に命を落とします。元々冬眠できるように体ができていないので、エネルギーをためておらず冬眠中にエネルギー不足となってしまいます。
日本でヨツユビハリネズミ以外のハリネズミはペットとして飼育できません。無断で飼育すると数百万円の罰金など思い罪が科せられます。これは「外来生物法」という法律で定められています。日本の生態系を乱す可能性がある動物が該当します。どのような生物がこの法律に該当するかというと、ものすごく簡単に言うと日本の四季が通年で越せない動物です。ヨツユビハリネズミは野生では日本の冬をこせませんので、万が一飼育放棄して野外に逃がす人がいたとしても日本の生態系を乱すことは無いのでこの法律の該当動物からは外されております。(でも可愛そうなので絶対に逃がさないでください。)
診察について
ハリネズミは人の見分けがよくつくように思います。診察に来る子は先生に触られると大体、威嚇して丸まってしまいます。
ダニの診察は丸まっていてもできますが、お腹を触ったりする検査はできません。その場合、ガス麻酔を短時間使用して検査しなければならないこともございます。