デグー
ごく最近になって人気の出てきた南米原産のペットです。段々と価格も下がってきており、これからもっと人気が出てくるペットであろうと思います。見た目は一昔前に流行った砂ネズミ(ジャービル)に似ています。茶色やグレー一色で地味な感じですが、とてもひとに懐きやすく人に対して噛み付き行動をしないため最近とても人気がある動物です。寿命は7〜10年です。
食事について
食べ物はウサギやモルモットに近いです。牧草をメインにあたえ足りない栄養素をデグー用のペレットで補えば大丈夫です。みためがネズミに似ているため、げっ歯類のフードを与えられがちですがそれでは駄目です。げっ歯類は切歯という前歯しか伸びませんが、デグーはウサギやモルモットと同様に臼歯という奥歯も伸びてきます。ですので、げっ歯類用のフードを与えていると臼歯が伸び過ぎてしまい食べ物が食べられなくなって弱ってしまいます。(いまだに一部のペットショップでは、ハムスターの餌を与えてくださいと言ってくる所も有りますので注意してください。)
その他注意する事は、糖分やでんぷん質を与えない事です。デグーはこれらの栄養素の代謝が苦手で、それが原因で糖尿病になりやすいです。糖尿病からの白内障も多いです。
ビタミンCについて
ビタミンCが一般的には必要だと言われています。しかし、この事にはしっかりした根拠が無く、海外でデグーがペットとして飼育される様になったばかりの頃は、ビタミンCは与えられていませんでしたが皆健康に寿命を全うしていたそうですし、実験的にもビタミンCは体の中で作る能力が有るという結果になっています。(アメリカのエキゾチックアニマルの教科書のデグーの項目にはビタミンCのことは全く書いてありません。)
では何故ビタミンCの事が言われるようになったかというと、近縁の種であるモルモットがビタミンCを体内で作る事ができないので、デグーも必要なのではという考え方に基づいているようです。ですので、デグー用のフードの中にはビタミンCはすでに入っていますので、サプリメントなどであえて追加で与える必要はありません。
尾の脱落について
一番重要な事かもしれません。デグーはシマリスと同様に尾をつかむと、皮膚がずる剥けて取れてしまい中の筋肉と骨がむき出しになってしまいます。絶対に尾を持たないでください。皮膚がとれて剥き出しになってしまうとそこから細菌感染が起こる事があります。ですので、細菌感染しないように抗生物質をしばらく飲み続けます。その後1〜2週間程度で乾燥してミイラ化して脱落します。しかし、感染して化膿したり、自分で気にして齧って出血がおさまらない、皮膚がとれてしまった長さが長い場合は、手術で切除しなければならない事もあります。注意してください。
砂浴びについて
健康に皮膚の状態を保つためには砂浴びも大切です。毛の余分な油脂分を落としてくれたり汚れを落としたりします。また、デグーは本来群れで生活しており同じ砂場を共にする事で同じ臭いが群れの中で共有され、砂場でついたその臭いが群れの一員であることの証になっているとも考えられています。ペットショップではチンチラ用の砂が手に入りやすいです。
探してみましたが日本語のデグーの飼育書は存在しませんでした。amazonで英語とドイツ語の本が手に入るだけのようです。ですので、インターネットで知識が独り歩きしていまだにフードについても間違った情報が流れています。その中で正しい知識を選ぶのは難しい事だと思いますが、上記の事だけでも覚えて頂ければ大丈夫だと思います。参考にしていただければと思います。
また、同様に獣医学的な書物もほとんど有りません。まだブームになったばかりで若い子が多く健康な子が多いと思われます。今はまだ病気の報告は少ないです。しかし、これからみんなが高齢になっていくと今までほとんど報告の無かった様な病気が出てくるかもしれません。当院では先生が自分で飼育したり、数少ない病気の症例報告などを一つずつ吸収しながら診療レベルの向上に努めています。